三井住友フィナンシャルグループ(SMFG、証券コード:8316)は2024年8月30日、2025年3月期に向けた更新版中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」を発表した。同社はESG(環境・社会・企業統治)投資とデジタル変革を軸に収益基盤の強化を図る方針で、2025年度のROE(自己資本利益率)目標を10%以上に設定している。
SMFGが公表した最新の業績予測によると、2024年3月期の連結純利益は1兆1,450億円を見込み、前年比17%増となる見通しだ。特に海外事業の収益拡大が寄与しており、アジアを中心としたグローバルビジネスの収益比率が30%に達すると予測されている。
同社の2025年度に向けた主要KPI(重要業績評価指標)は以下の通り:
「Five Values」と題した企業理念(誠実さ、顧客第一、積極的革新、スピード&品質、チームワーク)を基盤に、デジタル技術を活用した業務効率化とESG関連商品の拡充を成長の両輪と位置付けている。
SMFGは2024年4月、企業統治の強化に向けて執行役員体制の刷新を実施した。新たにChief Sustainability Officer(CSO)を設置し、ESG戦略の全社的な推進を図っている。また、デジタル変革を加速させるため、Chief Digital Innovation Officer(CDIO)のポジションを設け、AI活用や業務プロセスのデジタル化をリードしている。
取締役会の構成についても多様性が進み、2024年6月時点で女性取締役比率は22%に達している。これは日本のメガバンクの中でも高い水準で、同社が掲げる「Diversity, Equity & Inclusion(DEI)」戦略の一環として評価されている。
2024年6月末時点の主要株主構成は以下の通り:
市場関係者によると、SMFGの株価は2024年8月現在、前年比約15%上昇しており、特にESGへの積極投資が機関投資家から評価されているという。ある欧州系運用会社のアナリストは「SMFGの気候変動対応戦略とガバナンス改革は、日本の金融機関の中でも先行している」とコメントしている。
SMFGは2024-2025年度に2,000億円規模のIT投資を計画しており、このうち約60%をAI活用やデータ分析基盤の整備に充てる方針だ。具体的には、以下の取り組みを推進:
人材面では、2025年までに6,000名のデジタル人材を育成・採用する計画を掲げている。2023年時点で既に2,273名の専門人材を確保しており、社内の「Global Talent Management Council」を通じた人材育成プログラムを拡大中だ。
SMFGのESG戦略は特に以下の3分野に焦点を当てている:
1. 気候変動対応
2. ダイバーシティ推進
3. 金融包摂
大手証券会社の調査によると、SMFG株について8社中6社が「買い」または「強力買い」の評価を維持している。目標株価の中央値は4,500円で、現在の株価(2024年8月時点で約3,800円)から約18%の上昇余地があるとされている。
特に、以下の要素が今後の株価にとってのプラス材料と指摘されている:
一方で、懸念材料としては「国内金利の低迷が続く場合、預貸金利差(NIM)の改善に時間がかかる可能性」(国内証券アナリスト)などが挙げられている。
SMFGは2024年11月に2025年度以降の新たな中期経営計画を発表する予定だ。また、2025年4月には組織再編を実施し、サステナビリティ戦略とデジタル変革を推進する新たな執行役員体制を構築する方針。
投資家向けには、2024年9月にロンドン、10月にニューヨークでIR説明会を開催する予定で、海外機関投資家との対話を強化していく構えだ。
市場関係者は「SMFGが掲げる『Fulfilled Growth』の具体像と、その実現可能性についてより詳細な説明を求める声が強い」(欧州系運用会社)としており、今後の情報開示内容が注目される。